ユーラシア史学コース

ユーラシア史学コースとは?

「ユーラシア史学」という言葉に戸惑いを覚えた方も多いのではないでしょうか。従来の歴史学は、日本史学・東洋史学・西洋史学の三領域に区分されてきました。これは皆さんにも馴染み深いものでしょう。しかし私たちはあえてそうした伝統的区分を採らず、ユーラシア史学という耳慣れない独自のコースを設計しました。
それはこの三区分論が、三つの地域の閉鎖性をどこかで前提としているからです。いいかえればこの区分は、三地域が明確な境界線によって分断され、その閉ざされた空間の中でそれぞれ独自の文明を築いてきたという錯覚を生みかねません。しかし実際はそうではなく、人類ははるか昔から文明をまたぐ広域的な交渉を連綿と続けてきたのです。
そうしたダイナミックな歴史の側面を切り捨てないためにも、私たちはユーラシア大陸で勃興したさまざまな文明と、そこから地球規模で拡散した諸文明(新大陸や豪州も含む)をも包摂した枠組みを設定することにしました。それゆえユーラシア史学という言葉には単にユーラシア大陸の歴史だけでなく、それをはるかに凌駕するスケールの「人類史」という意味が込められているのです。

授業科目の一例
  • アッカド語初級
  • 古代西アジア史演習
  • 満洲語文語基礎
  • 中国史演習
  • ヨーロッパ史概説
  • ヨーロッパ・アメリカ史基礎文献講読
授業紹介
ヨーロッパ史概説はどんな授業?
ヨーロッパ史概説では、社会史ないし文化史の観点からヨーロッパの歴史を中近世から現代まで解説します。それを通じて、大学で行われる歴史研究の基本的な考え方や方法論を習得してもらうことを目標にしています。この 授業においては、歴史を「暗記科目」と見なすイメージから脱却してもらい、私たちの日常を取り巻くさまざまな「当たり前」を疑う思考力を鍛えるよう心がけてほしいと思います。
先輩たちの卒業論文
  • 紀元前7世紀ニネヴェ市アッシリア王室図書館におけるバビロニア王碑文写本収集とその政治・文化的背景
  • 紀元前1千年紀メソポタミアの死霊調伏技法書における家族の霊
  • 明代嘉靖年間の「倭寇」論の変遷-王直への言及を中心に-
  • 清朝支配初期の新疆南路における回兵の動員-乾隆30年のウシュ反乱を対象として-
  • ナチス期ドイツにおける遺伝病子孫予防法の成立と展開-遺伝健康裁判所に着目して-
  • 第一次世界大戦期アメリカにおける戦時広報-フォーミニットマン計画を中心に-

所属教員紹介

教員名 職階 メッセージ
山田 重郎 山田 重郎Shigeo Yamada 教授 粘土板に書かれ50万点も発見されている楔形文字文書を史料に古代メソポタミアの都市文明を研究しています。
柴田 大輔 柴田 大輔Daisuke Shibata 准教授 古代メソポタミアにおける宗教文化について研究しています。主史料となる楔形文字文書の精密な読解を研究の基礎としていますが、一方で、宗教学や人類学、あるいは他の時代・地域に関する文化史・社会史研究の問題意識も参考にしています。
上田 裕之 上田 裕之Hiroyuki Ueda 助教 中国近世の経済・財政について研究しています。既存の枠組みに縛られず、自分自身の眼差しで過去と現在の世界を読み解いていくーそんな挑戦に参加してくれる学生を待っています。
村上 宏昭 村上 宏昭Hiroaki Murakami 助教 20世紀のドイツの歴史を研究しています。歴史を振り返ると、いま私たちが当たり前だと思っている多くの事柄が、実はつい最近まで存在しなかったことがよく分かります。歴史を研究する最大の魅力です。
学類生の声

卒業生半田 真士

海外の歴史を研究することの意味を考えてみましょう。ある地域の現在をより深く知るための過去の探求、現代の我々が直面している問題に対する比較によるケーススタディとしての過去の事例の分析、あるいは、直接的に日本との関係がある/あった諸地域の歴史を分析することによる「日本」なるものの問い直しー。海外の歴史を研究する上で、このような問いかけは皆さんが学んでいく上で常につきまとうものです。そして、これらは皆さんが歴史に向かっていくとともに深化していくものです。
この問いに向かうための訓練としてユーラシア史学コースでは、史料・文献を読解する知識・技能を身につける「文献学」や、先行研究の内容について議論する「演習」が開講されています。また、言語学主専攻や比較文化学類の授業が隣接諸分野として学べるようカリキュラムに組み込まれています。これらの課程を通じて、自らが養った問題関心を展開しながら膨大な史料と先行研究、隣接分野の知見を通じて誠実に歴史像を構築する、この実践こそが歴史研究の、そして本コースの醍醐味でしょう。皆さんの挑戦をお待ちしています。

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