歴史地理学

歴史地理学実習A・B・C

過去の地理を研究する歴史地理学では、研究対象とする地域に関して、自らデータを収集し、分析、整理する能力が必要とされます。この授業では、特定の調査地を定め、現地にて景観観察や聞き取り調査、文献調査の方法を学び、最後に調査結果をまとめる力を養います。

担当教員 中西 僚太郎

授業の特徴・身につくこと

歴史地理学実習の大きな特徴は、大学内ではなく大学外の調査地にて研究の手法を学ぶことと、チームワークで調査を行うことにあります。

調査地では、まず、実際に現地をくまなく歩き、土地利用や建築物、石碑などの観察を行い、現在の景観から過去の営みを考察する能力を養います。続いて、現地の人々への聞き取りや、現地に所蔵される現物の古文書や絵図類の調査を行い、口述資料と文献資料の双方から過去の地理を再構成する力を身に付けます。いずれも現地でしかなしえない学びであり、現地調査をふまえてなされる歴史地理学研究の醍醐味を味わうことができます。

実習において、景観観察は参加者全体で行いますが、聞き取り調査と文献調査はグループ単位で行います。各グループは、事前学習を通して調査テーマを決め、調査計画を立てて現地調査に臨みます。グループで調査を行うことにより、特定の課題に対して共同・協業して解決に当たる能力が向上します。グループのリーダーは上級生が務めますので、上級生にはリーダーシップが求められ、自ずとそれが身に付いてきます。このようにして養われたチームワークの能力は、卒業後にどのような職業に就いた場合にでも有益なものといえます。

担当教員より、高校生へのメッセージ

教室や図書館で、講義や書物を通して学問を学ぶことは有意義なことですが、歴史地理学の場合、現地でのさまざまな経験を通して学ぶことはそれ以上に有意義で楽しいことです。歴史地理学の専攻生のなかには、聞き取り調査を通した現地の人々とのふれあいのなかで、研究の面白さに目覚める人も少なくありません。学問研究は、室内でのみで行われるものではないことを是非知ってほしいと思います。

また、実習ではあらかじめテーマを決めて調査に臨みますが、調査をするなかで、新たな発見や予期せぬ展開があり、テーマや調査計画を修正せざるを得ないこともしばしばです。社会の現実は複雑で、机上の想定をはみ出すことが多いことも、実習の調査経験を通して学んで欲しいと思います。

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